薬を使わないトゥレット症候群(チック症)と強迫性障害の治療 §29

Kurikiメソッド(the first edition in 2007)はトゥレット症候群(チック症)および強迫性障害を薬を使わずに治すことを目的とした理論である。この理論はこれらの病気の構造についての推論と解釈に基づいている。精神分析医を読者と想定して書かれており、一般の読者には難解であり、誤読の危険性がある。したがって、Kurikiメソッドは患者が最寄りの精神分析医により治療を受けること、患者とKurikiメソッドの間には常に精神分析医が存在することを前提とする。感情的カタルシスの爆発は強い影響を伴うため、一週間に一度、三秒間のみの実施であり、そのペースを超えた場合は過失による一種の事故である。そのような事故による一時的な精神的沈下は感情的カタルシスに関し未熟な精神分析医の責任とする。また、論理的思考力に乏しい患者には、頭の中でのトラウマ・イメージの加害者と現実世界での人物との錯覚的混同による暴力的復讐感情に関して精神分析医による個人的な説明が不足してはならない。

 

薬を使わないトゥレット症候群(チック症)と強迫性障害の治療
§29

 

意識化の図式
チック症の治療として、第一に抑圧対象、何が抑圧されているのかを患者は見つけ、それを意識化する。抑圧対象(下の図では小文字のt)の意識化。チック症の上層部での抑圧対象は身体的不快感覚である。チック症の下層部での抑圧対象はリビドー的トラウマの感情である。トラウマ感情とは、トラウマイメージの裏に凍結されている不快判断の表現。抑圧されている物が少なくなれば、チック症の《強迫性筋肉内感覚》の現れも少なくなる。
第二にどのように抑圧がなされるかを治すことがある。フロイトとKurikiメソッドとの違いに気をつける。それは、チック症は抑圧の手段であるということである。チックは身体的抑圧の仕組み、KVであると定義される。チック症の仕組み、病的な抑圧の仕組みの理解が必要である。すなわち、この図の全体の形の理解である。大文字のTはKVの症状。

理想的な抑圧のモデル
抑圧は人が生きていくためには必要なものである。健康的な抑圧はリビドー的トラウマの不快判断が表現された状態にあり、連想は任意で限定されていない対象 a につながる。自然な除反応が自発的になされ、不快判断が感情とともに自由に表現される。感情のかたまりが密閉状態で肥大するということがない。トラウマイメージは、不快なイメージとして明らかになっている。しかし、これはあくまでも理想である。

四種類の意識化
(1)不定的抑圧感覚の意識化

(2)原始的抑圧感覚の意識化および(3)再帰的抑圧感覚の意識化(反抑圧)

Kurikiメソッドの下層部、(4)トラウマイメージの裏の感情の意識化 (感情的カタルシス)。