薬を使わないトゥレット症候群(チック症)と強迫性障害の治療 §44

Kurikiメソッド(the first edition in 2007)はトゥレット症候群(チック症)および強迫性障害を薬を使わずに治すことを目的とした理論である。この理論はこれらの病気の構造についての推論と解釈に基づいている。精神分析医を読者と想定して書かれており、一般の読者には難解であり、誤読の危険性がある。したがって、Kurikiメソッドは患者が最寄りの精神分析医により治療を受けること、患者とKurikiメソッドの間には常に精神分析医が存在することを前提とする。感情的カタルシスの爆発は強い影響を伴うため、一週間に一度、三秒間のみの実施であり、そのペースを超えた場合は過失による一種の事故である。そのような事故による一時的な精神的沈下は感情的カタルシスに関し未熟な精神分析医の責任とする。また、論理的思考力に乏しい患者には、頭の中でのトラウマ・イメージの加害者と現実世界での人物との錯覚的混同による暴力的復讐感情に関して精神分析医による個人的な説明が不足してはならない。

 

薬を使わないトゥレット症候群(チック症)と強迫性障害の治療
§44

 

フロイトにはチック症を治すことはできなかった。私にはジークムント・フロイトの考えていた抑圧機能は文学的すぎるように思える。フロイトの精神分析学Kurikiメソッドとの違いを表にしてみた。

フロイトの精神分析学神経症の治療における精神の構造 (1923年以降) Kurikiメソッドチック症の治療における精神の構造
フロイトはエス、超自我、自我という構造。自我が大きく無意識の中に広がっている。神経症は自我の病気である。 Kurikiメソッドでは無意識、超自我、意識、身体の関係で考える。チック症はリビドーのレベルでの感情のかたまりの抑圧と身体感覚の抑圧(KV)の二重構造である。
超自我は倫理的な命令などの機能であり、抑圧は自我の防衛機制に属する。防衛機制とは、エスと超自我の衝突に対する自我の防衛である。 抑圧とは意識の対象の制限であり、身体感覚も含まれる。性欲が抑圧されることはない。チック症はフロイト的超自我が形成される以前、三歳ぐらいから始まることがある。したがって、フロイト的自我は問題外である。
除反応(カタルシス)は、見つけたトラウマについて話すことで行われる。 トゥレット症候群の人は抑圧の絶縁状態が強いので、意図的な感情的カタルシスが必要である。
抑圧されたトラウマのイメージは忘れられている。 トゥレット症候群の人は抑圧の傾向が強いので、赤ちゃんの頃からの不快判断が保存されている。トラウマイメージの表面はすでに見えている。
幼稚性は自我の現実原則からの退行である。 幼稚性は身体的感覚の抑圧手段の行為の合理化の正当性である。
神経症の症状はトラウマの内容の表現である。 神経症の症状とトラウマの内容は無関係である。
アスペルガー症候群(自閉症スペクトル障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)における意識の志向性の異常としてのチック症の先天的原因の可能性。