薬を使わないトゥレット症候群(チック症)と強迫性障害の治療 §27

Kurikiメソッド(the first edition in 2007)はトゥレット症候群(チック症)および強迫性障害を薬を使わずに治すことを目的とした理論である。この理論はこれらの病気の構造についての推論と解釈に基づいている。精神分析医を読者と想定して書かれており、一般の読者には難解であり、誤読の危険性がある。したがって、Kurikiメソッドは患者が最寄りの精神分析医により治療を受けること、患者とKurikiメソッドの間には常に精神分析医が存在することを前提とする。感情的カタルシスの爆発は強い影響を伴うため、一週間に一度、三秒間のみの実施であり、そのペースを超えた場合は過失による一種の事故である。そのような事故による一時的な精神的沈下は感情的カタルシスに関し未熟な精神分析医の責任とする。また、論理的思考力に乏しい患者には、頭の中でのトラウマ・イメージの加害者と現実世界での人物との錯覚的混同による暴力的復讐感情に関して精神分析医による個人的な説明が不足してはならない。

 

薬を使わないトゥレット症候群(チック症)と強迫性障害の治療
§27

 

2、不定的被抑圧感覚:
次の位相になるとチックは身体全体のさまざまな箇所のさまざまな状態における不快感覚を抑圧するようになる。たとえば、足の痛み、足の疲労、腰の痛み、椅子が硬すぎる、荷物が重い、風が冷たい、食べすぎ、正座、単純なスポーツの最中など。また、お酒を飲み過ぎたときなどの全身的不快感も身体的抑圧の対象となり、チック症の《強迫性筋肉内感覚》が抑圧の手段として使われる。
花粉のアレルギーや食品のアレルギーなどをチック症の原因とする説は Kurikiメソッドには含まれない。しかし、何らかのアレルギーによる身体的不快感覚をチック症は《強迫性筋肉内感覚》によって意識から排除しようとするとも考えられる。

精神集中を要するような難しい事をする際や精神的な緊張の際には、チック症の《強迫性筋肉内感覚》が減少する。精神的緊張の対象が意識の対象となり、チック症の症状に置き換えられるからである。精神集中の対象がチック症の《強迫性筋肉内感覚》の代用となる。しかし、そのことと同時に、精神的緊張感は様々な身体的感覚の集合でもあり、チック症の《強迫性筋肉内感覚》がその身体的不快感を抑圧するために現れることもある。たとえば恐怖は恐怖感であり、恐怖感はアドレナリン分泌による様々な身体的不快感覚の集合でもある。また、精神的緊張の際に身体の姿勢が悪く、無意識な筋肉的疲労が身体的不快感となる可能性もある。
これらの身体的不快感覚はチック症の《強迫性筋肉内感覚》によるKV(身体的抑圧)の対象である。《強迫性筋肉内感覚》はこれらの身体的不快感覚に対するヒステリー反応である。身体的不快感覚はチック症の原因ではないから、身体的不快感覚を取り除くことがチック症の治療となるということはない。逆に、チック症の上層部の治療には身体的抑圧の仕組みを意識化することが大切である。KVを暴く、見破るということ。さらに、身体的不快感覚の意識化はトラウマの発見を誘発する。

不定的被抑圧感覚の意識化
不定的被抑圧感覚の頻繁な意識化をする。チックの動作が必要になったとき、どの身体的不快感覚を抑圧するために別の身体感覚としてチック症の《強迫性筋肉内感覚》が作られているか、そのつど全身を探す。その時々で違う。例えば、額の筋肉のチックの場合、「今、額の筋肉の中にチック症の《強迫性筋肉内感覚》があるのは、腰の筋肉に少し痛みがあるからだ。」というようなふうに意識化をする。
チック症の《強迫性筋肉内感覚》による身体的不快感覚の抑圧は自動的に機能し、実際に身体的不快感覚が抑圧されていない場合もチック症の《強迫性筋肉内感覚》は現れ続ける。被抑圧身体的不快感覚は実際に抑圧が成功していない場合もある。被抑圧という語は抑圧の機能における受動的対象であることを意味する。