薬を使わないトゥレット症候群(チック症)と強迫性障害の治療 §15

Kurikiメソッド(the first edition in 2007)はトゥレット症候群(チック症)および強迫性障害を薬を使わずに治すことを目的とした理論である。この理論はこれらの病気の構造についての推論と解釈に基づいている。精神分析医を読者と想定して書かれており、一般の読者には難解であり、誤読の危険性がある。したがって、Kurikiメソッドは患者が最寄りの精神分析医により治療を受けること、患者とKurikiメソッドの間には常に精神分析医が存在することを前提とする。感情的カタルシスの爆発は強い影響を伴うため、一週間に一度、三秒間のみの実施であり、そのペースを超えた場合は過失による一種の事故である。そのような事故による一時的な精神的沈下は感情的カタルシスに関し未熟な精神分析医の責任とする。また、論理的思考力に乏しい患者には、頭の中でのトラウマ・イメージの加害者と現実世界での人物との錯覚的混同による暴力的復讐感情に関して精神分析医による個人的な説明が不足してはならない。

 

薬を使わないトゥレット症候群(チック症)と強迫性障害の治療
§15

 

チック症の二重構造を水車小屋にたとえてみる。この水車小屋は、水車の輪による水平軸の回転の部分と石臼の垂直軸の回転の部分からできている。最終的な目的を小麦粉とする。

(a) 水平軸の回転
ひとつの随意筋の感覚にリビドーのエネルギーが現れる。たとえば、首チックの場合、リビドーのエネルギーは首の随意筋の中の収縮のない収縮感覚として現れる。
そこに首の筋肉がある = そこに川がある
リビドーのエネルギー
首の筋肉の中のチック症の《強迫性筋肉内感覚》 = 川の流れ
別の可能性
そこに眼の筋肉がある = そこに風がある
リビドーのエネルギーの別の現れ
眼の筋肉の中のチック症の《強迫性筋肉内感覚》 = 風の流れ
選択肢
首のチック = 水車
眼球チック = 風車
合理化
首チックが選択される = 水車が選択される
偽りの動機 (たとえば)
首の関節にズレがあるから = 川がよく流れているから
超自我を通過する正当性 (たとえば)
関節の音がする = 水車がよく回る
絶対的強迫は患者には見えない。チック症の《強迫性筋肉内感覚》の身体的感覚が不快であるということのみが意識される。患者にはこの不快感覚が絶対的にチックの動作によって消されなくてはならないのだという絶対的強迫の枠組みが見えない。チック症の上層部の実際の理由は身体のチック症の《強迫性筋肉内感覚》とは別の位置の局所的な感覚の抑圧である。たとえば、首にチック症の《強迫性筋肉内感覚》が現れる目的は首とは別の身体部分の感覚の抑圧である。他の身体部分の感覚とは、たとえば、尿道の末端、亀頭、クリトリスなどの感覚かもしれない。
絶対的強迫
絶対にチックの動作が強制される = 絶対に水車は回る
上層部の本当の理由 (たとえば)
尿道の末端の感覚を抑圧する = 水平軸を回す

(b) 垂直軸の回転
神経症の症状は感情のかたまりの抑圧の手段です。
なぜ上層部があるのか
感情のかたまりを抑圧するため = 石臼を回すため
上層部を選ぶ合理化
強迫性障害も可能 = 電動の粉砕機も可能
水と小麦粉がまったく異質のものであるように、チック症の《強迫性筋肉内感覚》と感情のかたまりとの間には直接の関係はない。運動チックの動作と精神的トラウマの内容との間には直接の関係はない。

チックの様態が二つある患者。
「なぜなら風と川があるから。」
小麦粉を作るためではないのか。