『夜の果てへの旅』を読んでみる 05

              

 

夜の果てへの旅 [05]

Le cœur de Lola…
|| gêner 他動詞であるが、しばしば直接目的補語が省かれる。|| les relations 複数で、ここでは、ひとりの人間とひとりの人間の間の性的な関係のこと。|| manie 戦争という狂気の状態。|| tirer… 怪我の回復のための期間を伸ばすことにより、再び戦場に戻ることを避けていた。|| tenir à inf することを切望する || le ridicule 名詞。ばかばかしさ。|| clinquant この副詞は、自分の足音の擬音的効果のオノマトペでもあるように聞こえ、ばかばかしさが強調される。|| Une roublardise immense s’étalait partout. ひとつの巨大なペテンが至るところに広がるのであった。s’était étalé ではないので、広がっていたと訳すとあやまり。私の個人的な解釈では、このペテンとはバルダミュ自身が怪我が治癒しているにもかかわらず、治療中ということにして、戦場に戻ることを避けていることを言っているのではないだろうか。実は怪我は治っているという、ずるい、卑怯な気持ちが道を歩くときの足音とともに町ににじみ出るというような意味ではないだろうか。

Cependant j’avais…
|| バルダミュは世の中の愚かな大人たちにも容易に騙される、精神的に未熟な二十歳前後の青年であった。知人は皆、いつ死んでもいいような貧しい連中ばかりであり、世の中がどうであろうとも自分の命を守ることを教えてくれるような大人は一人もなく、ただ荒れた世の中にそのまま巻き込まれざるをえなかった。戦場を体験する以前ならば、他者の英雄的な言動にも容易に感化されたであうが、今ではそれらにそのまま扇動されることはなくなった。他者の英雄的な言動に騙されなくなっている、迷いから覚醒しているという意味において、「治った」と言える。|| y échapper 戦場に戻ることを免れる。échapper à reprendre mon tour au cimetière ardent des batailles || s’en tirer 切り抜ける。有力な人間のコネがあれば、再び戦場に戻ることを避けることも可能だった。 || m’embusquer 前線ではなく、後方での勤務に配置される。|| comme elle était とは言うものの。ロラ以上に前線において有能となりえる者はちょっといないであろう。 || Ortolan 近くの野原で二人のドイツ兵をサーベルで突いてきたところだと得意になっていた大尉。|| fricassée 戦場での殺戮の様子を比喩的に表現したもの。|| rébarbatif 人の言うことに、安易になびくことがない様子。|| guéri 怪我が治癒したことではなく、英雄的な様子に感化されやすい幻想から、はっきりと目覚めている状態。

Pour la commodité…
|| le Corps expéditionnaire américain アメリカ外征軍 American Expeditionary Forces、AEF || パリの有名なホテルであるオテル・リッツ Hôtel Ritz の名をもじったもの。ビスケットと同じ名。ダイアナさんが事故で亡くなる前の晩に泊まっていた。ちなみに、もう一つの超高級ホテルは、ロテル・ド・クリヨン L’Hôtel de Crillon 。通りの名前など、フランス語の固有名詞は冠詞や前置詞の使い方まで、きちんと憶えることになっている。|| デザートとしてのベニエ・オ・ポムは、リンゴの輪切りにし、芯を取り除き、天ぷらのように衣をつけて揚げ、砂糖を多めにまぶす。グラン・マニエ Grand Marnier でフランベにすることもある。パン屋さんで売っているベニエ・オ・ポムは揚げパンとして作ってある。まだ形のあるリンゴの輪切りにショソン・オ・ポム chausson aux pommes にも使うドロドロのジャムが添えられて入っている。ここでは前者と思われる。|| se distribuer 主語の il は le Corps expéditionnaire américain。自分たちのところに配る。se は間接目時補語。en は直接目的補語であり、ここでは不定冠詞複数のついた des beignets aux pommes のこと。de ··· ではない。 || beignet と bénigne は言葉の遊び。|| tourner mal 成り行きが悪くなる。出だしは良かったが、意に反し、後に悪い結果となっていく。

Lola, il faut…
|| mercenaire 雇われたという意味の形容詞であり、ここでは軍隊とは関係ないものと思われる。|| auprès des caves 地下と書いてあるが大きな高級ホテルの建物の地下なので、複数で書かれている料理場を薄暗く汚い小さな地下室として想像する必要はない。auprès de 地下にある葡萄酒の瓶を積んであるところという意味も含まれる。

Tout marchait…
|| se refusant … un seul … このような否定的な文での un seul… は、完全な否定の意。|| appréhension 直感的な危惧。|| arrivé と soudaine はそれぞれの前の名詞を修飾する形容詞。|| se fier à 信用する。当てにする。バルダミュは医学生であったので、何があったのならば黙っていないようにと彼女に言った。

D’avoir goûté…
|| 1キロ太ったぐらいで大袈裟だとも思われるが、彼女は「自分では気づかぬうちに」太っていたのであり、ある日、それに気づいて仰天したという文脈だ。ベルトの穴ひとつ cran で気がついたのであれば、彼女が始終日本の着物を着ていたことと話がつながる。何軒もの薬局に入って、そこの体重計で測ってみた。|| bel et bien 副詞句であり、不変。

Je suggérai…
|| suggérer 無理にカタカナで書けばスュグジェレと発音する。|| avantages ラルースの大きな辞書によると、古い表現で、女性の外見における豊満な魅力のことらしい。スタンダールの小説の中にも使われていた表現であるとのこと。|| ne vouloir rien entendre これは文字通り、耳を貸さないという意味であり、納得しないという意味ではない。|| compromis この単語は妥協と訳されることが多いが、ここでの文脈にはそぐわない。太ってもいいから仕事を続けるというのならば妥協である。ここでは、「だらしのない卑怯な振る舞い」の意。|| dans son genre ···であるとも言える。|| メイフラワー号は1620年にイギリスのプリマスからアメリカのプリマス(現在のマサチューセッツ州にある)に着いた。バルダミュがロラの言った通りに書いているとするならば、彼女が出鱈目を言っているということになる。

Toujours est-il…
|| aussi…que 繰り返しの省略をまじえた使い方。|| le Napolitain 人気のある一軒のレストランの架空の固有名詞として読む。

Jamais je…
|| des dédicaces 前に avec を補って読む。|| son genre どれもこれも彼女の好きなタイプ一色で。|| définitives いかにもそれらしく仕上がっている。 || pour la politesse 慣用句。控えめに言って。失礼ながら言わせてもえらば。|| 最後の on はバルダミュ je だけをさしている。自分を一般化した言い方ではあるが、on をあまり一般化しすぎて解釈すると誤りとなる。

Dès que je…
|| ne pas couper à 不可避であること || entité 抽象的な観念を実在化させたような存在。ここでは「国家」を意味する。|| aux contours adj. 輪郭という語にとらわれず、形容するための言い方として読む。ロラにとってフランスとは、地理的にも歴史的にもぼんやりとした、騎士道精神にあふれた国家のようなものであった。blessé や excitant というような語は、むしろアーサー王伝説における命知らずの勇ましさを連想させる。|| penser à mes tripes 自分が生き延びるということ、難を逃れることが最も重要であると考える。|| pour ce qui concerne は慣用句であり réservé pour ではない。

Cependant, comme…
|| contredire 他動詞で反対する相手「誰々に」は直接目的補語となる。|| vibrant, rayonnant ともに形容詞の男性形 || je ne vois pas pourquoi に類する言い回しには条件法が続き、「なぜ実際に・・・であったのかが理解できない」という意味になる。これは反実ではなく、驚きや狼狽を表現する条件法である。バルダミュは表面上は喜んでいるようには見えたのだが、心の底から幸せであったはずもないことはロラにも伝わっていたようだ。

Lola, après tout…
|| バルダミュが通常 ceux と書くべきところを celui 、そして l’ont と書くべきところを en ont としているようになっている。

Elle me tracassa…
|| âme ここでは肉体に対するものとしての精神の意。|| en avait plein la bouche それに関することばかりを常に言い続けている。|| en sortir つらい状況から脱出するという句である。直後に du corps が続いているが、先の en との反復ではない。|| prendre la pose 態度をとる。|| des deux poses これらの二つの態度のうちの(ひとつをとる)。ちなみに、choisir entre, choisir parmi, choisir de は等しく使われる。|| どちらにせよ、それが選べるのであるならば、まだマシなのであるが。

Mais moi, je…
|| jeu 賭博における意味であり、賭ける数字などが決められ、賭けが始まった状態。賽は投げられた。|| même que ・・・と言ってもいいくらいだ。|| 人々が戦争の成り行きなどを考えているのに対し、バルダミュはやがて自分自身が戦場に戻され、自分自身が殺されることばかりが頭にあった。

Cette espèce…
|| à jamais 永久に、ずっと || savoir ce qu’on dit 真実にもとづいた考え方ができる。ものごとの意味が分かる。 || バルダミュの心の中では戦場でのショックが続いている。この時は、このショックが癒えるまで、じっと耐えている期間であった。アゴニーは苦しみながら死ぬ場合の断末魔の苦しみのこと。しかし、この文では、身体的にも意識のうえでも健康でありながらの、時間的にズレのある断末魔の苦しみと表現されている。不定冠詞付きの複数で書かれている絶対的な真実とは死のみならず、人の想像力や希望的な考え方による気休めでは避けることのできないような現実的な即物的なことがらを意味する。中性名詞 on は、人を一般的にさしたもの。人生で、このような期間を耐え忍んで通過する者は、その後の生涯においてずっと、まともな考え方ができるようになる。

Ma conclusion…
|| l’hôtel バルダミュとロラの泊っているホテル || leurs petits amis 男性形になっているので、彼らと政治的関係にある者たちの意。|| la Coupole アカデミーフランセーズ。モンパルナスにある有名なキャフェの名でもある。文脈より、ここでは前者。|| les Grands Magasins パリのデパートで一番古いのは7区にあるオ・ボン・マルシェであるが、現在では他の二軒、ギャラリー・ラファイェットとオ・プラントンのほうが有名になっている。この二軒はオペラ座の裏に並んでいる。|| foutre は罵倒語的な動詞であり、ここでは foudre との洒落になっている。|| dans cette foire pourrie パリが攻撃された場合のありさま || avoir tout à gagner しかし、バルダミュはパリがドイツ軍によって滅茶苦茶にされても自分には失うものはなく、むしろそのほうがよいとまで言う。

On ne perd pas…
|| ここでの大家とは、政府のたとえである。政府が変わっても、人々の暮らしは変わらない。|| 大家が書く quittance de loyer と呼ばれている一枚の書類には、前の月の家賃の領収書と次の月の家賃の請求書が一緒になっていることが多い。現在ではコンピューターの印刷機でプリントアウトしたりするのでコピーの紙の大きさであることが多いが、昔は一般に四分の一ぐらいの大きさ、あるいはもっと小さな紙であることが多かった。|| à l’occasion これを「あちらの都合で」と訳せそうだ。|| Du moment que ind. いずれにせよ・・・であるから。

En somme…
|| le moral 男性名詞で、ここでは、バルダミュ自身の健康的な気力の状態のこと。気持ちの元気良さのことであり、Le moral est bon! などと言う。女性名詞 la morale が道徳の意となる。どちらも必ず定冠詞が付くことにより明らかにされる。|| chassé の直接目的補語は前の方に書いてある me 。バルダミュをどこから追い出すかというと、それは de + les dernières··· で書かれている。彼女のバルダミュに対する親密さにおける優しさの最後の残り滓からも。|| souffler 横取りする。|| ils étaient armés des séductions… が語順を変えて書かれている。|| 少し偉い軍人の位が officier であるのだが、同時に、レジョンドナーを叙勲された者は皆そのように呼ばれるのである。ここでは officier は後者の意であるため、「レジョンドナー叙勲者」と訳されなくてはならない。シュヴァリエ Chevalierその他の位もある。戦争の時代の叙勲者は合計で何十万人もいた。戦後はプーチンなどの外国人も含め芸術関係の人たちも多くいて、マイルス・デイビスやマイケル・ジャクソンももらっている。また、もらうのを断った芸能人たちの顔ぶれも面白い。日本人でもらった人のなかには、伊藤博文、丹下健三、乃木希典、野口英世、長谷川潔(版画家)、平山郁夫、北野武、舛添要一、五代目の坂東玉三郎などがいる。

Or, on se mit…
|| or おまけに、よりにもよって。|| eussent été この接続法大過去は条件法過去第二形であり、si 以下の条件節とともに過去における反実仮想を表現する。もし・・・でなかったなら、・・・となっていたことであろう。|| frivole 形容詞を名詞として使っている。下の文に elle accepta le remplacement とあるので、この cette frivole はロラのことではなく、バルダミュの頭に浮かんだ他愛のないアイデアのひらめきのこと。 celle qui = utilité  ロラの代わりにベニエの味見役をしてやるというアイデアが僕の頭に浮かばなかったのなら、きっと二人の関係は破局を迎えたことだろう。|| si に続く仮定の文では、ne…pas の pas は省略される。
|| 三段論法 le syllogisme のような構造の順序が変わったもの。
(Prémisse majeure) Je crois même qu’à deux ou trois reprises où je fus cocu. 
(Prémisse mineure) Or, on se mit à en parler beaucoup de cette fameuse Légion d’honneur dans les journaux américains.
(Conclusion) (Donc) nos relations eussent été très menacées, si au même moment cette frivole ne m’avait…

Cette spécialisation…
|| spécialisation 経済学用語として、産業などの分野を小さく専門化することによって能率や利益を上げること。|| De ma part ロラの代役は、バルダミュのほうから彼女に申し出たものであるということ。|| N’étais-je pas··· この文頭の倒置は条件節 Si···の代用。ただし、ここでは条件の意味はなく、Comme··· のように理由を述べるもの。|| les temps modernes ヨーロッパの近世は大航海時代から産業革命までの時代をさす。

Son corps était…
|| en funir 尽きる。|| Je n’en avais··· この en は joie のこと。|| révélation 新事実の発見。|| capital 最も大切な。重要な。なくてはならぬ。|| au sens biologique il s’entend もちろん生物学的な意味において。il s’entend は独立した句であり、bien sûr に等しい。

Je décidai…
|| à force de peloter このアメリカ人女性の賞賛されるべき身体を撫でてばかりいた結果、ついにアメリカという素晴らしい国に巡礼の旅に出ることにしたのだった。|| n’avoir de cesse avant de ··· するまで、やめない。n’avoir de repos avant も同じ意味であり、この二つの言い方を一緒にして書いたもの。|| mener qqch. à bien 成功させる。成し遂げる。

Je reçus…
|| le derrière 臀部 || entendons-nous 留意すべきは。|| 我々(バルダミュと読者)は、ロラの魅力は身体に関してだけではなく、心も奇麗だと続きそうなところが、ここでの身体 corps は胴体のみを意味しており、顔も奇麗だと言う。|| angle 目尻。私には単数で書かれるべきであるようにも思われる。

Rien que…
|| Silex d’Orfeuilles 有名な辛口の白ワインの名前であり、火打ち石のようなという意味を帯びている。|| point 否定の副詞 || バルダミュはロラの眼を褒めている。どのように褒めているかというと、彼女の眼にはパリの女性たちに見られる要素が欠如しているためにとげとげしい感じがする dur から魅力的なのである。パリの女性の眼のどこが悪いかというと、フラゴナールの絵に描かれている黒い瞳の女性たちのようなユダヤ商人の優しさをさしている。

Nous nous retrouvions…
|| d’à côté すぐ近所の || blessés 傷痍軍人 || À leur bénéfice 彼ら自身の利益のための || quête 募金。|| journée 「今日は何々の日です」「今日は何々デーです」といった類。とくに何々の日の主催者自身のための日 || baiser セックスをすること。死ぬこととセックスをすること以外では、嘘をつくこと以外は禁止されていた。|| imaginaire, ridicule, absurde 形容詞であり、名詞でもある語が名詞で使われている。 || Il est défendu de inf. 非人称。|| C’est à qui 未来、または C’était à qui 条件法現在。皆、われさきに・・・する。文法的には C’était à qui mentirait… とすべきところ。|| dans la ville パリには。

Le peu qu’on…
|| Le peu qu’on y trouvait en 1914, on en était honteux à présent. このセンテンスの意味は読みにくいかもしれない。 à présent は、現在のことではなく、当時、その頃は、という意味。前の trouvait が半過去、うしろの était も半過去なので同じ時なのである。前の部分が、もしも、うしろの部分よりも時間的に前なのであるならば、avait trouvé という大過去のはず。第一次世界大戦は 1914年から 1918年であるが、バルダミュはそれほど長く戦場にいたわけではなく、パリに戻ってきた時もだいたい同じ頃、あるいは、少し後ぐらいなのだろう。つまり en 1914 とは、「戦時中は」の意。「戦時中、世間にはそれほど沢山の物資があったわけではないのだが、それらは恥じるべき物、インチキな安物ばかりだった」|| フランス語では fantôme 「化け物」には、しばしば haineux 「晴れぬ恨みを抱いた」という形容詞が添えられる。逆に、恨みを化け物に喩えたものとも言える。|| 裏切り者ですら、ニセの裏切り者だった。|| délire de は、現代では「・・・妄想」と訳されるのだが、ここの文では「人々は熱に浮かされたように騙し騙されていた」という意味であろう。|| Courage ! On les aura ! というのはフィリップ・ペタン将軍のヴェルダンでの言葉であるが、年代は1916年のこととなっている。|| Quand Madelon vient nous servir à boire, Sous la tonnelle on frôle son jupon… 1914年に、このような流行歌があった。

Elle se penchait…
|| se pencher sur ひたすら没頭し、夢中になっていること。|| notre mort アメリカ人である彼女から見た我々フランス人の死 || entêtement 名詞 || avec impudeur || d’ailleurs そもそも || la mode 流行、風潮。|| pour les autres 直前に toutes les femmes とあるので、ここでは男性たちの意。男たちが戦争で死ぬことに対して肯定的になっており、「そら行け、突撃だ」というようなことを叫んだりするほどだった。

Et moi qui…
|| se découvrir du goût pour ・・・が好きになる。「自分の中に・・・に対する好みを見出す」などのような直訳をしないように気を付ける。 || prétentieux偉そうな口調の人物を批判するときにフランス人が好んで用いる形容詞。上から目線。|| ロラが戦争に関することがらに夢中になっているのに対し、バルダミュは戦争から離れることを欲していた。バルダミュにとってアメリカへの関心は、戦争のことを忘れたいという願望から生まれている。ロラの受け答えは曖昧にぼかしたものであり、それはバルダミュのアメリカへの興味を意図的に増幅させるものであった。|| tendre à ・・・を意図する。

Mais, je me…
|| impression 通常、機械的に「印象」と和訳される名詞であるが、ここでは思い込み、まんまと乗せられること。boniment 口車、と同義で書かれている。たとえばêtre impressionné は「感銘を受ける」という意味になる。|| à présent 前出のところとは意味が異なり、ここでは、戦場の経験の後ということ。|| 自動詞 croire は前置詞 à とともに使われると、何かを信頼している心の状態を意味する。日本語で神様を信じますかなどと言うときに使われる動詞ではあるのだが、その場合も神の存在・非存在の問いのみには終わらない意味を持っている。|| embusqué 軍隊において、ずるい方法を使って、自分が危険な前線からなるべく離れた地域の任務に配属されるようにした兵隊。|| la Lola ロラという人物、人物像。

Elle traversait…
|| Le Petit Journal 人気のあった右翼の人種差別的な新聞名。新聞とは言うものの、43 × 30 cm という小さな版で、値段も他の新聞の三分の一ほど。mentalité   Le Petit Journal のもつ好戦的な気分を煽るような気質。|| Pompon と Fanfare は、pompons poilus や fanfare des poilus などの語があるのだが、冠詞が付かず、大文字で始まっているので、何か軍隊と関係のある固有名詞と考えられる。|| Lorraine は、地方 région の名前であり、四つの県 département から成っている。前の部分でロラの描写に使われているジャンヌ・ダルクは、このロレーヌ地方の出身である。ヴォージュ Vosges は、しばしば戦いがあり、ドイツ帝国のものとなったこともある。1919年にフランスに返還された。非常にしばしば愛情を込めて、所有形容詞 ma が付けられた形で呼ばれる。gants blancs にも冠詞が付いておらず、あとに三つのポワンが続いているので、ma Lorraine et gants blancs でひとまとまりと考えられる。白手袋は軍人を意味するのであろう。|| faire des politesses 性的に誘う。|| ブローニュの森は人工的な公園であり、池もすべて人工的に作られたもの。|| Tour des Lacs アルプス、ピレネーなどの広範囲の山岳地方で湖めぐりをする大規模な旅行のことであり、ブローニュの公園の人工池めぐりを茶化した表現。

La nature…
|| le Bois = le Bois de Boulogne || confidence 打ち明け話。信頼を意味する confiance との混同に注意。|| graisseux 古い道具が手垢で汚れているように、浮浪者の衣服が垢だらけで汚くなっているように、多くの利用者によって公園が汚れている様子。|| pelé ここでは、地面に雑草が生えていないという意味。|| faire affluer les souvenirs 散歩をしていると、たくさんの思い出を次々に思い出させる。|| ne pas échapper à これは自動詞であり、何々を免れることができないという意味。|| inquiétude この語を機械的に「不安」と解釈すると意味が伝わらない。ここでは、心がソワソワすること。動揺や興奮の意。|| à peu près sincères 嘘の話ではなく、充分に実話と考えてよさそうな。|| ses petites amies さすがに、男友達についての話は控えていた。

Je n’arrivais…
|| vraisemblable ここでは名詞。なにやらウソだらけのような込み入った話から真実性のある部分を識別するのは困難であった。|| champ de courses 競馬場。ブローニュの森付近には Longchamp(平地競走) と Auteuil(障害競走) の二つの競馬場がある。2006年の Longchamps の凱旋門賞には武豊の乗るディープインパクトという馬が日本から来て、それが見れるようなツアーで日本から大勢の観光客が来て大騒ぎになったが、火を吐くキチガイ馬に最後に追い抜かれてしまった。|| dans ces parages その付近で || faire de la poussière 騒ぐ。|| permissionnaires 休暇中の軍人。|| femmes vacantes ナンパされうる女性というような意味であり、ここでは娼婦のことではない。|| entre deux trains バリでの汽車の乗り換えの合い間の時間を使って || l’heure implacable 休暇中の軍人にとっての自由な時間が刻々と過ぎてしまうという意味かと思われる。|| chaleur さかりがついている状態というような意味も含まれる。

Le Bois était…
|| à droite et à gauche いろいろなところで。いろいろな人から。|| coloré ロラにしている話を面白くするために出鱈目な尾ひれをつけて、話を盛る。 || élégante きれいな服を着た女性。|| coupé 四輪馬車。金持ちが競馬場まで乗ってくるのであろうか。|| départ レースのスタート || trompe らっぱ。|| volontaire 勇ましい。|| 実際に fièvre ondulante という名の病気があり、ブルセラ症と呼ばれているそうであるが、ここでは文字通りの意味で読む。|| enjeu 賭け。

Elle lui plut…
|| Elle = ma description idéale || si … que の構文 || idéal 空想的であり、ウソが混じっているだけに理想的である。|| nous rapprocher この直接目的補語 nous は二人の関係を近づけるという意味。|| この Lora は、文の主語 elle を反復して示しているのであり、動詞の目的語ではない。目的語、すなわち、ロラが錯覚したものは、que 以下に書かれている。|| dissimulé バルダミュは競馬にはそもそも興味がなかった。戦場から戻ってきたばかりのバルダミュが競馬などについて楽しく話すわけがないので、ロラはそれをバルダミュが隠していたものと思い込んでしまった。|| solennités mondaines 金持ちが集まってにぎやかに贅沢なことを楽しむようなこと。|| choses à la mode その時代々々での風潮となっていたものの様子。当時の風物。|| révolu 昔の。今ではもうなくなっている。|| Lola c’était··· = Pour Lola c’était··· || fuite 時が流れ去ること || ロラがバルダミュに vouvoyer をしているということは、バルダミュもロラに vouvoyer で話しているということになる。|| pas certain 戦争が終わったら競馬が再開するということが確かでないのか、いつか戦争が終わることが確かでないのか。

Cette possibilité…
|| 私は、この elle がロラのことではなく la tristesse du monde のことであるとは、すぐには気が付かなかった。 du monde 人の世の。|| comme elle peut できるだけ多くの人々を。|| parvenir à … || 日常、頻繁に使われる語でありながら、二義をもつものがある。混同されることがほとんどないのが不思議だ。日本語では、「ごはん」「きれい」など。フランス語では、悲しく痛ましいこと、孤独で寂しいことの形容詞として同じ triste が使われる。ここの文での tristesse は日本語に訳すならばどちらであろうか、選択が微妙である。

Supposez qu’elle…
|| réunion 競馬のレースの開催。reprendre は、ここでは自動詞であり、les réunions は主語の elles のこと。

Et la voilà…
|| 1 livre は500グラム。前出の部分で、ロラがリンゴのベニエを毎日食べて1キロ太ったために随分気分が落ち込んでしまった時のこと。|| 過去における未来として、間接話法の部分が条件法で書かれている。直接話法で会話の台詞をそのまま書いた場合ならば、未来形となるところである。 || hommage は無声の h なのでリエゾンする。複数で、女性にお世辞を言いながら敬意を表すこと。|| Pour maigrir ? 未来に関して気落ちしていたロラは痩せるための運動としてブローニュの森に来ていたことをうっかり忘れていたので、バルダミュの台詞に痩せたいんでしょ N’est-ce pas ? の意味でクエスチョンマークが付いている。

Nous quittâmes…

Nous quittâmes Longchamp, les enfants étaient partis des alentours. Plus que de la poussière. Les permissionnaires pourchassaient encore le Bonheur, mais hors des futaies à présent, traqué qu’il devait être, le Bonheur, entre les terrasses de la Porte Maillot.

|| 文脈より、les alentours は、ブローニュの森の一帯を広く指しているのであり、バルダミュとロラの二人の周囲という意味ではない。|| plus que = il n’y a plus que スを発音せずにプリュー・クと発音されるような気がする。|| 現在、ポルト・マイヨにはコンコルド・ラファイエットという背の高い円筒形のホテルとパレ・デ・コングレという大きなコンサートホールがくっついている建物があり、むしろこの建物をポルト・マイヨと呼んでいると言ってもいいのではないだろうか。しかし、この建物は小説のこの頃にはまだなかったはずであり、この付近には金持ちの暇つぶし用ののんびりしたキャフェが少なからずあったのであろう。être traqué の主語は幸福であるが、大文字になっているのは助平な意味を持たせるため、ナンパなどのような意味であるように思える。休暇中の兵隊たちは多分ポルト・マイヨの方にでも行ってしまったのであろうという推測であり、バルダミュとロラが北の方向のポルト・マイヨに来たのでない。次の文では逆方向に移動する。

Nous longions…
|| イメージが詩的に、ぼけた文で、故意に不明瞭に表現される。形容詞 voilées は、土手道を修飾している。「秋の(秋から)」がどの語に掛かっているのかを文脈から判断することはできない。平底船の、へさきが橋のアーチにまさに接触しているのであれば、橋の近くでは、と言うのは変であり、したがって「二人が橋の近くに来た時に」そこで見えたものを述べていると解釈しなくてはならない。橋に定冠詞が付けられているが、たぶん Pont de Suresnes (スュレンと読む)。「船の縁まで」は石炭の積み方のように見えるが、よく見ると enfoncées 「沈みそう」に掛かっている。沈みそうなほどスレスレという意味において結果としては同じことなので、どちらでもよいのではあるが。|| 一般的には、のどかと言える風景であっても、二人の不安な気持ちにおいては悲観的に見えるという印象をバルダミュが表現しているものと解される。

L’immense éventail…
|| éventail 扇形という意味ではなく、むしろ屏風のように、沢山と木々が茂り、長く広がっている様子を表現しているものと思われる。|| grilles フランスでは公園などの塀は一般に鉄の格子で出来ていることが多い。三十センチ程の間隔で縦に直径三センチぐらいの鉄の棒が並んでいる。上の先端が槍の先のように尖っているが、乗り越えようとするならば容易に乗り越えられる。黒色などのペンキが厚く塗ってある。|| les grands rêves 睡眠中に見る夢ではなく、将来への期待などを意味するものとしての夢。|| seulement しかしながら、ひとつ残念なことには。それに続く des は de + les であり、en と重なってはいるが se méfier des arbres の倒置。「木々だけは」のように訳すと誤訳となる。|| leurs embuscades 所有形容詞は木々のことである。待ち伏せを木々の属性としている。ドイツ兵の、という意味ではない。|| un mort 死体。死者。la mort 死。|| deux rangées roses 列になって植えてある花の色は濃いピンク色ではあるが、花の種類が薔薇である必要はない。「二列に並んだの薔薇」と訳すと誤訳。|| dans les chemins de côté 横道に入ったようなところ。|| tendus de toiles 枠組みなどに厚手の布が張ってあること。|| baraques des fêtes 日本のお祭りでの夜店をもう少し大きくしたようなものに相当する。たとえば、クレープ屋、射的、輪投げ、風船屋、綿菓子屋など。|| flotter たぶんボロくなっているバラックの軽さを表現したものであり、実際に風に揺れていたのでもなく、もちろん水に浮かんでいたわけでもない。関係代名詞 que の先行詞は une fête.

C’est voilà un…
|| これは実話だが、実はかれこれ三十年以上も前、ある日、ミュエットからもっと西に向かってブラブラ歩いていたときに大きな公園のようになっていたので、こんなところに公園がある、面白そうだと思って入っていったら森のようになっていたので、ここが例のブローニュの森か、こんな近くにあったのかと思ってそのまま歩いていったことがある。私は外を出歩くことが少なかったので、ブローニュの森にも来たことはなく、知らなかったのだ。池にアヒルがいたりした。森の小道のような感じのところもあったので歩いていると、白髪の混じったようなおっさんが私を追い抜いて、振り返ってジロリと私の目を見ながら何か言いたげな顔をして、そして先の方に急ぎ足で歩いていったのだった。そのまま歩いていくと向こうのほうに数人の女装の男達が高いハイヒールを履いて喋りながらフラフラしていた。なるほど、さっきのおっさんが私をジロリと見た理由が分かった。もし、お前が東洋人の男娼なら俺が買うからそっちから声を掛けろという意味だったのだ。dame aux sodas をソーダを売っている女性のことであろうが、別の意味があるのかもしれない。ソーダという語には辞書で調べても、とくにそれらしい隠語的な意味はないのだが、私は娼婦のことだと思う。確信も根拠もないのだが、娼婦だとして読むと文脈にぴったりと収まる。彼女のほうからバルダミュ二人に話しかけている。ここを通る人は日に二人もいない。習慣として、ここにいる。昔はにぎわっていた、云々。ちなみに、昔、流行していた歌に Vanessa Paradis の Joe Le Taxi というのがある。8 小節あるイントロの、その 8 小節めから歌が始まる始まりかたがとても美しいのだが、歌詞の il marche pas au soda で言いたいことの意味が不明だ。酔っぱらい運転を勧めるような歌詞が流行るはずがない。|| 続く文の la vielle は文頭の主語 Elle の繰り返し。au reste いずれにせよ。|| tente このテントをあまり三角形に想像する必要はない。布の部分の多いバラックのことであろう。

Nous en comptâmes…
|| en 前出のテント、あるいはバラックのことであり、続く数詞や形容詞の補語である。|| glace 長い形のテントは二十ほどあり、内側の側面と奥は鏡になっていた。小さな四角い夜店、露店なので、内側に鏡を貼り、少しでも広く華やいで見えるような仕組みになっていた。|| tout traversé de この tout は副詞であり、形容詞 traversé は、直前の小さなテアトルを修飾している。たかだか幅4メートルぐらいの舞台であろうから、劇場や芝居小屋と訳すと文脈におけるイメージにはそぐわない。|| 側面の布が欠如しているバラックがひとつあり、風が吹き抜けるような状態で、あたかも謎的な要素をすっかり失ってしまった昔の神秘のようであった。

Elles penchaient…
|| les tentes は、文頭の主語の Elles のこと。|| les feuilles et la boue 落ち葉とぬかるみ。どちらも定冠詞がつき、後者は単数になっている。 || tanguer 前後に揺れること。この語にはタンゴを踊るという意味もある。|| Elle vacillait 自動詞で、主語が真ん中の布であるかのような文であるが、動詞の意味が布というものにそぐわない。また、secouait は他動詞のみでありながら、直接目的補語が見当たらない。したがって解釈としては、Elle は la dernière tente であり、船に喩えた表現。 sa toile du milieu は secouait の直接目的補語。|| stand (de tir) 射撃場。|| Nation 国民を含めた国家の意であるが、とくに戦争において守り攻めるものが国家である。たとえば、ヒトラーのナチズムは国家社会主義である。Le National-Socialisme。

Plus personne…
|| 直前には否定文はないのであるが、もしもここに non plus を入れなかったならば他の店は店員が店番をしているかのように読めてしまうかもしれない。|| 店の持ち主は他の店の持ち主や客たちと一緒に(戦場で)射撃をしているのであろうという意味。|| comme は驚嘆を表す。どの的も弾の跡でボロボロになっている。標的は結婚式の参列者になっていた。|| zinc ザングと読む。|| promis 新郎。|| fête 特に何の祭日ということではなく、日曜日など、多くの人がブローニュの森にぞろぞろと来て、このような店で遊んでいることを一般的に言っているものと思われる。marcher は、にぎわっている状態であること。elle = la fête || bien は bien des fois であり、tuer bien ではない。|| ここでは勿論バルダミュは戦場の銃撃を思い出している。

Au dernier rang…
|| 射的の的が雛壇のようになっていて、一番奥の、すなわち一番上の段は市役所(区役所)の建物になっていたようだ。仕掛けでチーンと音がして窓が開いている間に中に見えるものを撃つ。|| フランスでは結婚式は勿論教会でするのであるが、法律的な結婚は市長によって市役所でなされる。パリは大きな市なので、区役所で行なう。|| quand ça fonctionnait、この射的の小屋が客でにぎわっていたころは。|| celui-ci 市役所に対し、その横の軍隊のほうをさす。|| entre les pipes et les petits ballons 射的の的になっているこの亜鉛製の軍隊のほうは亜鉛製の人々が手にしている亜鉛製の「吹き戻し party horn 短い笛の先にピーピー吹くと伸び縮みするゼンマイ型の紙が付いてる」と亜鉛製の風船の間を行進していた。|| à présent sur moi on tirait, hier, demain バルダミュのフラッシュバック。|| ロラは相変わらずバルダミュに vous を使って喋っている。

Nous descendîmes…
|| descendre、ここでは南の方角に進むこと。|| allée la Royale 架空の通り。通常、アレーは細い通り、しばしば歩行者のための通り道であり、la grande allée とは、ブローニュの森にはアレーが沢山あり、そのなかでの比較において大きいという意味。

Quand nos parvînmes…
|| レストランの名前として”chez 誰々”というものがしばしばある。Cf. Bouillons Duval. また、Auguste Renoir の serveuse du restaurant Duval というような絵がある。|| cela vous hanger les idées 気分転換になる。|| se décider pour 選択において、何々に決めること。|| バルダミュはPTSDのために、今、レストラン中の人が皆、襲撃にあうことを妄想した。|| attendre は「待っている」ではなく、近い未来の表現。

On m’a ramené…
|| PTSDの妄想が続く。|| 銃で撃つ tirer は前置詞 sur を付けた qqn を伴うので、「撃たれる」は通常 se faire tirer dessus と言う。|| Paritz 前出の架空のホテル名。パリの最高級ホテルの名はLe Ritz Parisであるが、勿論、ロラのホテルはそれではない。しかし、そのような名前を付けるのであるならば、大きめなホテルが想像されてよい。ホテルにおいて、caisse という語は通常、フロントのカウンターの脇にある、一人の会計係のいる小さな勘定場を指すのであるが、この文では大きいという形容詞が付き、しかも、なぜか語頭が大文字で書いてあり、その後ろに複数の従業員がいるので、フロント・カウンター全体を指しているものと考えられる。en bas は下方や入り口などの意味ではなく、向こうの方にいる、あそこにいる、(= là-bas) というような意味。le type 一人の男。du Paritz このホテルの従業員であり。「このホテルの従業員で、フロントのあっちの方で偉そうにしてるあの男にしても、云々」concierge ホテルのコンシエルジュはボーイ chasseur や荷物係 bagagiste ドアボーイ portier などのサービス係のなかでは一番偉い。|| le concierge qu’on l’appelait 大きなホテルに従業員が沢山いたら、客には誰が誰なのかは見ただけでは分からないこともある。皆がムッシュー・コンシエルジュと呼んでいるのならば、その男は勿論コンシエルジュなのであろう。

On va tirer…
|| du plus fort que je pouvais 通常、このように言うのであるが、この du の文法的な説明はネット上では見つからなかった。|| par la fenêtre que j’ai crié この que は副詞句や副詞と節を結ぶ接続詞として、コンマの代わりに自由に置くことができ、とくに C’est が省略されたものと考える必要はない。Cf., Heureusement, il est là. = Heureusement qu’il est là.|| Ça me tenait. PTSDの発作がバルダミュを捕らえて離さないでいること。|| scandale 日本語ではスキャンダルは新聞・雑誌などに載るような醜聞のことであるが、フランス語ではその場だけの非社会的な恥ずかしい行動なども意味する。|| bien bu 一口だけではなく、ある程度の量を充分に飲むこと。|| 通常、文頭の状況補語の後にはコンマが打たれる。… Nations, il y en avait … || avec leurs menottes 所有形容詞はここまでしつこく使われるものらしい。|| en sortir ここでの en は de ce monde であり、苦しい状況から抜け出る en sortir または s’en sortir ではない。

ルイ=フェルディナン・セリーヌ夜の果てへの旅