韓国ドラマのノリでどんどん読みすすむ『源氏物語』02

genji monogatari


古文助動詞


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源氏物語


源氏物語の音読の仕方は、おおかた次の通り。


濁音は、文節の頭以外において、鼻音 ン を先行させて発音される。


さ、し、す、せ、そ
→「シャ、シ、シュ、シェ、ショ
濁音「ジャ、ジ、ジュ、ジェ、ジョ」「ンジャ、ンジ、ンジュ、ンジェ、ンジョ
(これらは、チャ、チ、チュ、チェ、チョの濁音としての、ンヂャ、ンヂ、ンヂュ、ンヂェ、ンヂョ、ではない。)


は、ひ、ふ、へ、ほ
→ 文節の頭「ファ、フィ、フ、フェ、フォ
欧米の前歯が下唇に当たる f の音ではない。両唇は接触する。ギリシャ語には ph、両唇の狭い間での空気の摩擦音 φ がある。奈良時代はパピプペポのみであったが、その p が破裂しなくなったもの。
→ 源氏物語の音読におけるハ行転呼、文節の頭以外での「ウァ、ウィ、ウ、ウェ、ウォ」には諸説があるが、当サイトでは、独断的に、ハ行転呼は避け、ハ行はハ行で読む。ただし、助詞「は」「へ」に関してのみ「ウァ」「ウェ」と読む


「た、ち、つ、て、と」
→「タ、ティ、トゥ、テ、ト」
濁音「ダ、ディ、ドゥ、デ、ド」「ンダ、ンディ、ンドゥ、ンデ、ンド」


わ、ゐ、う、ゑ、を
→「ウァ、ウィ、ウ、ウェ、ウォ



→「イェ


平安時代には「」の文字が存在していなかった。


文節の頭以外において、ん、あるいは唇を閉じる子音の前で m で発音される場合が多い。


撥音便無表記
」を補って読む。
あなり、あめり、あべし、なめり、など。
あんなり、あんめり、あんべし、なんめり


拗音
小さな「ゃ、ゅ、ょ」(当時、そもそも拗音そのものが存在していなかった)
大きな「や、ゆ、よ」として、独立した音節で読む。


促音
当時、小さな「」は書かれなかった。


一音節の名詞
伸ばして読む。例、名「なあ」、歯「はあ」


高低アクセントは関西弁に準ずる。


帚木, ははきぎ


光る源氏 名のみことことしう 言ひ消たれたまふ咎多かなるに
いとど かかる好きごとどもを 末の世にも聞き伝へて 軽びたる名をや流さむと
忍びたまひける隠ろへごとをさへ 語り伝へけむ人のもの言ひさがなさよ

「ことことし」 仰々しい
「言ひ消つ」 いひけつ、非難する、 
「咎多かなる」 とが、おほかなる
「いとど」 さらに、いっそう
「隠ろへごと」 かくろへごと、隠し事
「さがなさ」 意地の悪さ


さるは いといたく世を憚り まめだちたまひけるほど
なよびかにをかしきことはなくて
交野少将には笑はれたまひけむかし

「さるは」 さあるは、の約、そのことは実は
「まめだち」 真面目に振る舞う
「なよびか」 色っぽい 
「交野少将」 かたののせうしゃう、色好みの昔話の人物
「かし」 終助詞、・・・ですよね。


まだ中将などにものしたまひし時は
内裏にのみさぶらひようしたまひて
大殿には絶え絶えまかでたまふ
忍ぶの乱れやと 疑ひきこゆることもありしかど 
さしもあだめき目馴れたるうちつけの好き好きしさなどは好ましからぬ御本性にて
まれには あながちに引き違へ心尽くしなることを
御心に思しとどむる癖なむ
あやにくにて
さるまじき御振る舞ひもうち混じりける

「中将」 ちゅうじゃう
「大殿」 おほいどの、内裏の藤壺が目当てで、左大臣の家にはあまり帰宅しなかった
「忍ぶの乱れ」 不倫 (藤壺との関係)
「さしも」 そのように
「目馴る」 世間によくある、ありふれた
「うちつけ」 軽薄
「御本性」 ごほんじゃう
「あながち」 強ち、むやみ、一途
「引き違ふ」 ひきたがふ、常道からはずれる
「心尽くし」
「御心」 みこころ
「あやにく」 あいにく


長雨晴れ間なきころ
内裏の御物忌さし続きて
いとど長居さぶらひたまふを
大殿にはおぼつかなく恨めしく思したれど
よろづの御よそひ何くれとめづらしきさまに調じ出でたまひつつ
御息子の君たちただこの御宿直所の宮仕へを勤めたまふ

「御物忌」 おほんものいみ、
「長居」 ながゐ
「大殿にはおぼつかなく」 左大臣家では、光源氏にあえなく、待ち遠しく思っていたのだが
「よそひ」 装い
「何くれと」 何やかやと
「御息子の君たち」 左大臣の息子たち、光源氏と頭中将
「この御宿直所」 おほんとのゐどころ、桐壺、源氏の部屋


宮腹の中将は なかに親しく馴れきこえたまひて
遊び戯れをも人よりは心安く
なれなれしく振る舞ひたり
右大臣のいたはりかしづきたまふ住み処は この君もいともの憂くして、好きがましきあだ人なり。

「宮腹」頭中将の母は帝の妹宮
「なかに」 とりわけ
「住み処」 すみか
「好きがましきあだ人」 好色


里にても
わが方のしつらひまばゆくして
君の出で入りしたまふにうち連れきこえたまひつつ
夜昼 学問をも遊びをももろともにして 
をさをさ立ちおくれず
いづくにてもまつはれきこえたまふほどに
おのづからかしこまりもえおかず
心のうちに思ふことをも隠しあへずなむ
睦れきこえたまひける

「わが方のしつらひ」 頭中将自身の部屋の装飾
「君」 光源氏
「をさをさ」 めったに・・・せず
「睦る」 むつれ、仲が良い


つれづれと降り暮らして しめやかなる宵の雨に
殿上にもをさをさ人少なに
御宿直所も例よりはのどやかなる心地するに
大殿油近くて書どもなど見たまふ。

「例よりは」 れいよりは、いつもより
「殿上」 てんじゃう、清涼殿の殿上人の詰め所
「御宿直所」 おほんとのゐどころ
「例よりは」れい、いつもよりは
「大殿油近くて」 おほとなぶら、燈火。て、接続助詞、連用修飾語につき状態を表す
「書」 ふみ


近き御厨子なる色々の紙なる文どもを引き出でて
中将わりなくゆかしがれば

「御厨子」 みづし、戸棚、恋文が詰まっていた
「ゆかしがる」 見たがる

さりぬべき すこしは見せむ
かたはなるべきもこそ

「ぬべき」 確述用法、準体法。見せても大丈夫なものに限って少しだけ見せてあげましょう
「かたは」 片端、体裁の悪い。見られたら困るものもありますから。
「もこそ」 悪い事態の予測、もこそあれ

と許したまはねば
 
そのうちとけてかたはらいたしと思されむこそゆかしけれ
おしなべたるおほかたのは 数ならねど 程々につけて 書き交はしつつも見はべりなむ
おのがじし 恨めしき折々 
待ち顔ならむ夕暮れなどのこそ 
見所はあらめ

「かたはらいたし」 きまりが悪い
「思されむ」 準体法
「おしなべて」 普通の
「おほかたの」 ありふれた
「数ならねど」 私(頭中将)のような詰まらない人間の場合でも
「程々につけて」 それはそれなりに、
「書き交はし」 かきかはし。私も書いたり、もらったりもした
「おのがじし」 (そんな詰まらないものではなく)、男と女が互いに恨めしく思ったり
「見所」 みどころ

と怨ずれば 
やむごとなくせちに隠したまふべきなどは 
かやうにおほぞうなる御厨子などにうち置き散らしたまふべくもあらず
深くとり置きたまふべかめれば
二の町の心安きなるべし

「怨ず」 ゑんず、恨み言をいう、愚痴をこぼす
「ば」 ・・・のであるが、それは、したがって、以下のようなことなのであろう。
「やむごとなく」 高貴な女性による
「せちに」 ひたすら
「おほぞうなる」 いいかげんな
「べかめれば」 大事なものならば、どこかにちゃんと隠しておくに違いないのだから、
「二の町」 二流の


片端づつ見るに
かくさまざまなる物どもこそはべりけれ とて 心あてに それか かれか など問ふなかに
言ひ当つるもあり
もて離れたることをも思ひ寄せて疑ふも をかしと思せど
言少なにてとかく紛らはしつつ とり隠したまひつ

「それか かれか」 これはあの女か、それからこちらはあの女か
「思ひ寄せて」 ぜんぜんはずれていることを憶測して
「をかしと思せど」 そのような頭中将を光源氏はにやにやしながら見ている
「言少なに」 ことすくなに
「とり隠し」 やっぱり見せるのをやめて、しまってしまう


そこにこそ多く集へたまふらめ
すこし見ばや
さてなむ この厨子も心よく開くべき
とのたまへば

「そこにこそ」 あなたのほうこそ
「ばや」 (光源氏の)願望
「さて」 条件、あなた(頭中将)のを見せてくれたら、私のも見せてあげましょう。


御覧じ所あらむこそ 難くはべらめ
など聞こえたまふついでに

「御覧じ所」 ごらんじどころ、見どころ、見て面白い
「難くはべらめ」 かたくはべらめ、ありません
「ついでに」 そのようなことを言った、そのついでに、
以下、頭中将の長い台詞が続く。
『雨夜の品定め』

女の これはしもと難つくまじきは 難くもあるかなと
やうやうなむ見たまへ知る

「しも」 下に打消の語を伴う、・・・でない
「難つくまじき」 なんつくまじき、悪い点がない人
「難くもある」 いない
「やうやう」 ようやく

ただうはべばかりの情けに 
手走り書き をりふしの答へ心得てうちしなどばかりは
随分によろしきも多かりと見たまふれど
そもまことにその方を取り出でむ選びにかならず漏るまじきは いと難しや

「をりふしの答へ心得てうちし」 いらへ、その場に即した返答を上手にする
「随分に」 学んだ教養に従って
「そも」 それにしても
「その方」かた、選択の範疇。それに絶対漏れないという女はいない。

わが心得たることばかりを おのがじし心をやりて 
人をば落としめなど
かたはらいたきこと多かり

「心得たる」 こころえたる、心得、こころう、素養がある
「心をやる」 得意になる
「かたはらいたし」 みっともない

親など立ち添ひもてあがめて 生ひ先籠れる窓の内なるほどは
ただ片かどを聞き伝へて 心を動かすこともあめり

「もて」 接頭語、強意
「あがむ」 大切に育てる
「生ひ先」 おひさき、将来
「籠れる窓の内」 箱入り娘
「片かど」 かたかど、ちょっとした取り柄、若い娘のちょっとした取り柄を聞きつけただけで、男は想像力から好意を寄せてしまう。

容貌をかしくうちおほどき 若やかにて紛るることなきほど
はかなきすさびをも
人まねに心を入るることもあるに おのづから一つゆゑづけてし出づることもあり

「容貌」 かたち
「おほどく」 おっとりしている
「紛るることなき」 まぎるることなき、家事などに忙しいということのない身分
「はかなきすさび」 たいしたことではない遊びごと
「心を入るる」 熱心にする
「ゆゑづく」 上手くなる

見る人 後れたる方をば言ひ隠し
さてありぬべき方をばつくろひて まねび出だすに
それ しかあらじ
と そらにいかがは推し量り思ひくたさむ。

「見る人」 世話をする人
「後れたる方」 娘の劣っている部分に関しては
「さてありぬべき方」 そのままで良い部分をも、さらに盛って
「まねび出だす」 人に語る
「それ しかあらじ」 うそだろう
「そらに」 実際にその娘に会ったわけでもないのに
「思ひくたす」 思い腐す、悪く評価する

まことかと見もてゆくに 見劣りせぬやうは なくなむあるべき

「見もてゆく」もて、は接頭語。 その女と付き合い続けるうちに
「やう」 というような状態、というようなこと。
頭中将の長い台詞が終わる


と うめきたる気色も恥づかしげなれば
いとなべてはあらねど われ思し合はすることやあらむ
うちほほ笑みて

頭中将がそうは言いながらも恥ずかしそうにしているので、それに対し光源氏がうなづきながら思う
「いとなべてはあらねど」 すべての女がそうだというわけではないが 

その 片かどもなき人は あらむや
とのたまへば

「片かどもなき人」 ちょっとした取り柄すら全然ない女が果たして存在するだろうか。光源氏が問う。


いと さばかりならむあたりには 誰れかはすかされ寄りはべらむ
取るかたなく口惜しき際と 
優なりとおぼゆばかりすぐれたるとは
数等しくこそはべらめ
人の品高く生まれぬれば 人にもてかしづかれて 隠るること多く 自然にそのけはひこよなかるべし
中の品になむ 人の心々 おのがじしの立てたるおもむきも見えて 分かるべきことかたがた多かるべき
下のきざみといふ際になれば ことに耳たたずかし

頭中将が答える
「さばかり」 そのような、何の取り柄もない女
「すかす」 だます
「取るかたなく口惜しき際」 くちをしき、なんのとりえもないつまらない身分の低い女
「優」 いう、素晴らしい
「品」 しな、家柄、身分
「こよなし」 素晴らしい
「中の品」 なかのしな
「心々」 こころごころ、人それぞれの心
「おのがじしの立てたるおもむき」 個性
「分かるべきこと」 特徴
「かたがた」 各自
「下のきざみ」 しも、下層階級
「耳たつ」 興味をもつ



とて、いと隈なげなる気色なるも、ゆかしくて、

「隈なげなる気色」 くま、けしき、頭中将のいかにも何でも知っているような様子
「ゆかし」 光源氏は興味をもった。以下は光源氏の台詞。

その品々や いかに
いづれを三つの品に置きてか分くべき
元の品高く生まれながら 身は沈み 位みじかくて人げなき
また直人の上達部などまでなり上り 我は顔にて家の内を飾り 人に劣らじと思へる
そのけぢめをば いかが分くべき

「その品々」 女を家柄、身分で範疇に分けるときの基準についての質問
「三つの品」 みつのしな、 上の品、かみのしな、中の品、なかのしな、下のきざみ、しものきざみ
「身は沈み」 窮地
「位みじかくて人げなき」くらゐ、落ちぶれて、みじめな暮らし
「直人」 なほびと、普通の身分の人 
「我は顔」 ドヤ顔


と問ひたまふほどに 左馬頭 藤式部丞 御物忌に籠もらむとて参れり
世の好き者にて物よく言ひとほれるを 中将待ちとりて この品々をわきまへ定め争ふ
いと聞きにくきこと多かり

「左馬頭 藤式部丞」 ひだりのむまのかみ、とうしきぶのじょう
「御物忌」 おほんものいみ
「言ひとほれる」 詳しくペラペラと喋る
「わきまへ」 分類し議論する

なり上れども もとよりさるべき筋ならぬは
世人の思へることも さは言へど なほことなり
また 元はやむごとなき筋なれど 世に経るたづき少なく 時世に移ろひて おぼえ衰へぬれば
心は心としてこと足らず 悪ろびたることども出でくるわざなめれば 
とりどりにことわりて 中の品にぞ置くべき

《独自の解釈、ここで登場した多弁な左馬頭の長い台詞と思われる。》
「なり上れども」 なりのぼれども
「世人」 よひと
「なほことなり」 (女についての話をしているのではあるが、この部分では家柄を世間の人たちがどう見ているかを述べている。)世間は上流の家柄とは見ない。
「世に経るたづき」よにふる、世渡りの上手さ
「時世」 ときよ、時勢の流れに追いつけずに
「おぼえ」  評判
「心は心として」 いくら気高い気持ちは持っていても、それはさておき。
「悪ろびたる」 わろびたる、体裁の悪いこと
「とりどりにことわりて」 個別的に評価して

受領と言ひて 人の国のことにかかづらひ営みて 品定まりたる中にも
またきざみきざみありて 中の品のけしうはあらぬ 選り出でつべきころほひなり
なまなまの上達部よりも非参議の四位どもの 世のおぼえ口惜しからず
もとの根ざし卑しからぬ やすらかに身をもてなしふるまひたる いとかはらかなりや

「受領」 ずりゃう、地方に赴任した国司
「きざみきざみ」 さらに細かい階級
「けしうはあらぬ」 準体法、悪くないもの
「ころほひ」 今の時世
「なまなま」 中途半端
「非参議の四位」ひさんぎのしゐ、三位以上の参議の役割をしている四位の役人
「口惜しからず」くちをしからず、悪くない
「かはらか」 かわらか、さっぱりしている


家の内に足らぬことなどはたなかめるままに 省かずまばゆきまでもてかしづける女などの 
おとしめがたく生ひ出づるもあまたあるべし
宮仕へに出で立ちて 思ひかけぬ幸ひ とり出づる例ども多かりかし
など言へば

「はたなかめるまま」 なかんめる、金があるので、何も不足せず、なに不自由なく、甘やかされて育った娘
「おとしめがたく」 良い子に育った娘


すべて にぎははしきによるべきななり
とて 笑ひたまふを

(光源氏の台詞)
「にぎははし」 金持ち


異人の言はむやうに 心得ず仰せらる
と 中将憎む

「異人」 ことひと、まるでだれかあなたとは別の人間が


元の品 時世のおぼえうち合ひ やむごとなきあたりの
内々のもてなし けはひ 後れたらむは さらにも言はず
何をしてかく生ひ出でけむと 言ふかひなくおぼゆべし
うち合ひてすぐれたらむもことわり、これこそはさるべきこととおぼえて、めづらかなることと心も驚くまじ。
なにがしが及ぶべきほどならねば、上が上はうちおきはべりぬ。

(左馬頭の長い台詞が始まる)
「時世」 ときよ
「うち合ひ」 良い評判が、もともとの立派な階級に相応していて
「あたり」 家
「内々のもてなし」 私的な場面での振る舞い
「後れたらむ」 ひどい
「うち合ひて」 立派な家柄と娘の振る舞いに矛盾がなく、
「ことわり」 それは当然だ。めずらしくも、なんともない。
「なにがし」 私(左馬頭)のような下級の人間には無縁な、最上級の家の最上級の女については語れません。


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