古文助動詞


1、未然形に接続する助動詞


る、らる、 受身、可能、自発、尊敬


接続 未然形 -a で終わる語根 (四段・ナ変・ラ変)-aる
行かれず、行かれたり、行かる、行かるる時、行かるれど、行かれよ

らる
接続、未然形、-i -u -e -o で終わる語根 (上一、下一、上二、下二、カ変、サ変)-iらる、 -uらる、 -eらる、 -oらる
起きられず、起きられたり、起きらる、起きらるる時、起きらるれど、起きられよ、

受身 passive

現在の受身 …is done.
部屋はひごとに清めらる
The room is cleaned every day.

過去の受身 …was done.
この家 一九九〇年に造られけり + 伝聞過去「けり」
This house was built in 1990.

未来の受身 …will be done.
結果はやがて披露せられむ + 未来の推量の助動詞「む」
The results will be announced soon. 

進行形の受身 …is being done
車は今 つくろはれたり + 継続の助動詞「たり」
The car is being repaired now.

完了形の受身 …has been done
企てはすでに成し遂げられぬ + 完了の助動詞「ぬ」
The project has been finished.

可能 potential 

可能の「る」「らる」は打ち消しの語(「ず」「じ」など)を伴った否定文で不可能「〜できない」という形で使われる。

さらにこそ信ぜられね
「さらに」けっして。「こそ」係り結び・・・「ね」打消の助動詞「ず」の已然形、
I can’t believe it at all.

可能の肯定文には動詞「得(う)」。
I can’t speak Chinese now, but I want to be able to speak Chinese next year.
今は漢語は語られず
されど来年には漢語を語るをえまほし

現在の物事の可能性の推量には「らむ」
It may be true. 
それはまことなりらむ

未来の物事の可能性の推量には「む」
It might rain tomorrow. 
明日、雨降らむ

自発 spontaneous

I can’t stop thinking of the city.
都のみぞ思ひやらるる
係り結び、ぞ・・・連体形

尊敬 honorifics

自発と尊敬の判別は文脈に依る。
英語には敬語は文法的には存在しない。


す、さす、しむ


接続 未然形 -a で終わる語根、-aす (四段・ナ変・ラ変)
行かせず、行かせたり、行かす、行かする時、行かすれど、行かせよ

さす
接続 未然形 -i -u -e -o で終わる語根、-iさす、 -uさす、 -eさす、 -oさす (上一、下一、上二、下二、カ変、サ変)、
起きさせず、起きさせたり、起きさす、起きさする時、起きさせれど、起きさせよ、

しむ 
男性用の漢文の訓読で使われる
接続 未然形
行かしめず、行かしめたり、行かしむ、行かしむる時、行かしむれど、行かしめよ

使役 causative
やすらはす
make someone take a rest
こちらの指図で相手に行動を命令する。
let someone take a rest
相手が望んでいる行動を許す

最高敬語(二重尊敬)
尊敬の表現を使役として誤読しないように注意。
尊敬の助動詞、す、さす、しむ + 尊敬の補助動詞、たまふ
「せたまふ」「させたまふ」「しめたまふ」
人のそしりをもえはばからせたまはず
猫を御ふところに入れさせたまひて


ず、じ、「まじ」は接続が終止形なので、のちほど説明。


接続 未然形
打消 (negation) do not
行かず         行かず       行かず 行かぬ時   行かねども     ○
行かざらず 行かざりて ○ 行かざる時 行かざれども 行かざれ
たゆまず歩み続けてついに都に着きぬ
連用形「ず」+ 動詞「歩む」
(この「ぬ」は完了の「ぬ」の終止形)
Having walked without rest, I have finally arrived in the city.

いとやむごとなき際にはあらぬがすぐれて時めき給ふありけり
この「ぬ」は「ず」の連体形、準体法。

行かず、行かず寝ている、行かず、行かぬ時、行かねども、○
行かざらば、行かざりけり、○ 、行ざる時、行ざれども、行かざれ
cf. 連用+、ぬ、完了、の連体形は、ぬる
行きなば、行きにけり、行きぬ、行きぬる時、行きぬれども、行きね

(「給ふ」も準体法。また、この「が」は格助詞であり、逆説の接続助詞としての「にもかかわらず」の意ではない。)
(A girl), who was not of the best lineage, was highly in the favor (of Mikado).

筆を執れば物書かれず
連用形「ず」による中止法
Taking up my pen, I find myself unable to write a single word.


接続 未然形、
打消推量打消意志 will not / must not
否定的な推量・意志であり、その逆の肯定的な推量・意志は「む」と「べし」
○ ○ 行かじ、行かじ、行かじ、○
係助詞「ぞ・なむ・や・か」の結び、また準体法としての連体形
係助詞「こそ」の結びとしての已然形

人はなど訪はで過ぐらむ風にこそ知られじと思ふ宿の桜を
「など」なぜ。「訪ふ」とふ。訪ねないで通り過ぎる
已然形は係助詞「こそ」の結び
Why do people pass by without a visit? Though I want to hide these cherry blossoms only from the wind.


発音は m
むず 「む」の強調 発音は mず

接続 未然形
肯定的な推量・意志・勧誘・仮定・婉曲 will / shall / may
行かまば ○ 行かむ    行かむ時     行かめども      ○ 
○       ○ 行かむず 行かむずる時 行かむずれども ○ 
「ん」「んず」と書かれることがある。

推量 conjecture
(主語、三人称)
・・・こともあらむずらむ 
+ 現在推量の「らむ」
There may be ・・・

意志 intention
(主語、一人称)
いとやすきこと
たしかにまもり侍らむ
It’s easy. I will protect it.

勧誘 suggestion
(主語、二人称)
とくこそ試みさせ給はめ
You should try it now

仮定 supposition
婉曲 euphemism
・・・のような、などと現代語訳される「む」の意味の仮定か婉曲かの判別が微妙な場合がある。

思はむ子を法師になしたらむこそ心苦しけれ
む、連体形
It would be a pity to have a child, whom one would cherish, became a bonze.


まし

接続 未然形、
反実仮想 If..did., ..would do.. / If..had done.., ..would have done..
行かましかば ○ 行かまし 行かまし時 行かましかば ○ 
行かませば
・・・ましかば・・・まし
・・・ませば・・・まし
見ざらましかば口惜しからまし
What a shame it would have been if I hadn’t seen it.


まほし
接続 未然形、
希望 want to
行かまほしくば   行かまほしく     行かまほし 行かまほしき時 行かまほしけれど ○
行かまほしからず   行かまほしかけり ○         行かまほしかる時   ○       ○
紫のゆかりを見て続きの見まほしく覚ゆれど
After reading the Wakamurasaki chapter, I wanted to read the rest, but…


2,連用形に接続する助動詞



接続 連用形、
過去(直接体験) direct experience, I did. I have done
き     行きせば  ○       行きき  行きしとき  行きしかど   ○
カ変、来「ク」  きせば   ○       きき  こしとき    こしかど    ○
サ変、為「ス」  しせば    ○       しき   せしとき    せしかど    ○


けり
接続 連用形
伝聞過去、indirect discovery, turned out
詠嘆 exclamatory, I heard that…
けり     行きけらば     ○     行きけり     行きけるとき     行きけれど     ○


ぬ、つ
接続 連用形、
完了 (completion)     have already done
強意 (emphasis、sureness) certainly···, surely···
並列 (juxtaposition)     V and V

ぬ     行きなば     行きて     行きぬ     行きぬる     行きぬれど     行きね、
つ     行きてば     行きて     行きつ     行きつるとき     行きつれど     行きてよ

さもありなん
な、は、ぬ、の未然形。ん、は、む、の終止形、む(発音は m )


たり 1
接続 連用形、
完了 (completion) have done, had done
存続 (state of being, Progressive), be doing
行きたらば     行きたりて     行きたり     行きたるとき     行きたれど     行きたれ、

たり 2
接続 体言
断定
人たらば     人たりて     人たり     人たる時     人たれど     人たれ


たし
接続 連用形、
希望 (desire, 自分の願望) want to
行きたくば     行きたく     行きたし     行きたきとき     行きたけれど、  
行きたからず     行きたかりけり     ○     ○     ○     ○


けむ 発音は、けm
接続 連用形
過去推量 must have been
○     ○     行きけむ     行きけむとき     行きけめど     ○


3,終止形に接続する助動詞



らむ の発音は らm
接続 終止形 ラ変は連体形
○     ○     行くらむ     行くらむ時     行くらめども     ○
○     ○     あるらむ     あるらむ     あるらめ     ○

現在推量 must be


らし
接続 終止形、 
推定 (conjecture with high certainty) it appears that V, it seems that V
○     ○     行くらし     行くらしとき     行くらしど     ○
行くらしきとき、


めり
接続 終止形、(ラ変は連体形)
推定 目で見た情報に基づく (conjecture from sight) seem / look like 
○      行くめりて、   行くめり、 行くめるとき、  行くめれど、     ○


なり
接続 終止形 (ラ変は連体形)
伝聞・推定 耳で聞いた情報に基づく “I hear that…” / sound like
行くならば、  行くなりて、   行くなり、 行くなるとき、   行くなれど、    ○

・ 断定の《なり》、連体+、ならず、なりけり・にけり、なり、なる時、なれども、なれ
・ 推定・伝聞の《なり》、終止+・ラ変連体+、ならず、なりけり、なり、なる時、なれども、○、(撥音便無表記、あなり)
・ 形容動詞のナリ活用
・ 動詞の《なる》、ならず、なりけり、なる、なるとき、なれば、なれ


まじ
接続 終止形、(ラ変は連体形)
行くまじくば、   行くまじくなる、   行くまじ、   行くまじきとき、     行くまじけれど、    ○
行くまじからず、   行くまじかりて、   ○         行くまじかる、      ○       ○
打消推量 (negative conjecture) will not / must not
打消意志 (negative intention) will not V, am not going to V
不可能 (impossibility) it’s impossible to V
不適当 (inappropriateness) should not V, must not V
禁止


べし
接続 終止形、(ラ変は連体形)
行くべくば、  行くべくあり、  行くべし、 行くべき時、  行くべけれど、    ○
行くべからず、 行くべかりけり、 ○      行くべかる時、   ○            ○

will, must, should, can
推量 (conjecture) will V, must V, probably V
適当 当然 義務 強い確信を伴う (appropriateness/duty) should V, ought to V, must V
可能 (possibility) can V, be able to V
意志 決意 (intention) will V, am going to V
勧誘
命令 (order) must V, V! (Imperative)


4,連体形および名詞に接続する助動詞


なり2
たり2


ごとし
接続 連体形、「・・・の」、または、「・・・が」
比況・例示(Comparison)like / as if
ごとし、   求むるごとくば、   求むるごとくなる、  求むるごとし、   求むるごときとき、  ○    ○
求むるがごとし、 ・・・・・
人のごとし、 ・・・・・
ごとくなり、 人のごとくならば、 人のごとくなりて、 人のごとくなり、 人のごとくなるとき、 人のごとくなれど、 人のごとくなれ、
人のごとくにて、


5,サ変未然形、四段已然形に接続する助動詞



接続 命令(サ変未然形 四段已然形)、
行けらば、   行けりて、   行けり、   行けるとき、   行けれども、  行けれ、

完了(Perfect, completion have V-ed
存続 Progressive, State (be -ing)