「けち臭い」「せこい」「みみっちい」「しみったれ」「しけてる」の英訳


「けち臭い」「せこい」「みみっちい」「しみったれ」「しけてる」の英訳
英語には「けち臭い」「せこい」「みみっちい」「しみったれ」「しけてる」などの日本語の形容詞に対応する語はないと考えるのが妥当と思われる。勿論、市販の和英辞典の編集者は何らかの形容詞を載せていなくてはならないであろうが、どれも不適切なはずである。日本語の会話文での「それは、ずいぶんせこい考えだ」「なんだか、けち臭いなあ」などをそのまま一対一で英語の形容詞を当てはめることはできない。下手な英語で、いきなり《守銭奴》《貪欲》というような罵倒語にならぬよう、無作法にならぬよう注意が必要である。英語も歴史のある言語であるから、十七世紀、十八世紀の頃の《本物の乞食のようにみすぼらしい》といったような語になるかもしれない。和英辞典はウソばかり載っているので信用しすぎてはならない。和英辞典に載っていても、自分が知らない語、初めてお目にかかる語は避けたほうが賢明である。「けち臭い」「せこい」「みみっちい」などは、日本人独特の軽い考え方の雰囲気、多くの場合、むしろ楽しい空気の中で笑いながら使う語なので、少し遠回りをして長めになっても、楽しい気持ちが伝わるよう、ちゃんと丁寧に表現することが必要なはずである。金銭的な意味をまったく伴っていない場合も多々ある。言われた側の人間には決して良い気持ちのしない形容詞であるため、始めから誰かの悪口としての楽しい雰囲気、あるいは、とても親しい人には、ここまで言っても怒らないという冗談っぽい言い方としてのみ使える言葉。笑顔で喋るのもいいが、冷笑と受け取られる危険性もなきにしもあらず。たとえば、とても親しい友人の家の台所で、「あなたは使った割り箸をまた洗って使っているけど、不衛生だし、それにそれって少しせこくないですか。何だか醤油の臭いがしそう。」を英語で言おうとしたら・・・まず、言ってもいいものかどうかを良く考えてから・・・
I think it wouldn’t be necessary to use those waribashi that you used once, because it cannot be dry enough inside after washing and then that wouldn’t be very hygienic, and then it can be a little bit funny, because some people like waribashi as it is something disposable…
やっぱり、言わないほうがいい。たとえ話し手が楽しい気持ちで言っていたとしても、批判的な内容の言葉は罵倒と受け取られることもあり、喧嘩を売っていることにもなりえること、話し手の苛立ちの表現ともなりえることを充分承知した上で使う。

つまり、日本語には外人さんには伝わらない微妙な単語も少なからずあるということ。「けち臭い」「せこい」「みみっちい」「しみったれ」「しけてる」など、楽しい語感をもった罵倒語をそれが伝わるように訳そうとすること自体が根本的な誤り。英語学習の一環として、日本語の何が英語に訳せないかを認識すべきである。