ドイツ語文法、この変な dem は何か


ドイツ語文法、この変な dem は何か
次の少し古いがよく使われる言い回しでは、なぜ 3 格が用いられているのか。
“Dem ist nicht so.”
ドイツ語は主語が省略されることの多い言語ではないので、学習者には dem があたかも主語のように見える。ところが、この言い回しでは動詞 ist の主語は省略されているのだ。このような省略は、かえってドイツ人にも文法的にピンとこないようで、ドイツのサイトなどでは、この dem は das に置き換えてもいいなどというような的の外れたことを言う人すらいるようだ。ちょっとマトモッポイ雰囲気のサイトを読んでみると、das の 1 格が 3 格の代わりをしているのではなく、es が省略されているのである。geht や ist などによる非人称の文で、これに近い es の省略の例を挙げると納得できる。”Wie geht es dir?” が “Wie geht’s dir?” に短縮されるあたりが進化の過程のように見える。
“Wie geht’s dir heute?” “Mir ist gut zumute.” (zumute は副詞)